
1. 外国人社員の退職時に必要な手続き
外国人社員が退職する際は、企業側と本人側の双方で行うべき手続きがあります。
1-1. 企業が行う手続き
基本的には日本人社員と同様ですが、外国人特有の手続きも加わります。
- 退職証明書の交付
- 退職したことを証明する書類です。
- 日本人は要請があった場合のみ交付すればよいのに対し、外国人は必ず交付します。
- 記載項目:勤務期間・業務内容・役職・賃金・退職理由(希望しない項目は記載不可)
- 雇用保険被保険者資格喪失届の提出(退職日の翌日から10日以内)
- ハローワークへ提出すると、入管への届出は不要になります。
- 外国人欄に「氏名/在留期間/就労区分/国籍・地域/在留資格」を記入。
- 在留カード番号の届出
- 2020年3月1日以降に雇用または離職した外国人について必要。
- 提出書類に「事業所番号・事業所名・雇保被保険者番号・氏名・在留カード番号」を記載。
- オンラインでも提出可。
- (省略可能)外国人雇用状況の届出
- 雇用保険喪失届提出者は不要。提出しない場合は「中長期在留者受入れ届出」を14日以内に。
- 日本人同様の手続き
- 健康保険証の回収
- 源泉徴収票の交付
- 社会保険・労働保険の資格喪失手続き
- 離職票の交付(失業手当受給希望者)
1-2. 外国人社員本人が行う手続き

- 契約機関に関する届出(退職後14日以内)
- 契約終了を報告する書類に「氏名・性別・生年月日・住所・在留カード番号・在留資格・契約終了理由」を記入。
- 在留資格の更新・変更
- 新しい職務に適合する在留資格を確認し、有効期限内に更新または変更手続きを。
2. 注意点
- 貸与品の回収:制服、社員証、鍵、備品などを必ず返却してもらう。
- 証明書の記載制限:本人が希望しない項目は記載不可(違反時は30万円以下の罰金)。
- 再就職・活動期限:退職後3ヶ月以内に就労または求職活動しないと在留資格取消しに。
3. 帰国時の追加手続き
外国人が帰国する場合、以下の手続きを順に行います。
- 脱退一時金の請求
- 10年未満の納付期間者は保険料一部を返還。再来日予定がない場合は請求を。
- 住民税の精算
- 1月1日時点で住所がある場合、全額一括納付。納税管理人の選定も可能。
- 銀行口座の解約
- 休眠口座化・詐欺リスク・維持手数料回避のため、帰国前に閉鎖。
- 住民票の転出届
- 転出届を出さないと脱退一時金不支給・税・年金請求が継続される。
- その他ライフライン解約
- 住居(1〜2ヶ月前通知)、電気・ガス・水道(立会い手続可)、インターネット、携帯電話(店舗窓口で解約)。
4. まとめ
外国人社員の退職手続きは、日本人と共通の手続きに加え、以下の3つが必須です。
- 退職証明書の交付
- 雇用保険被保険者資格喪失届の提出
- 在留カード番号の届出
また、本人による契約機関届出や在留資格更新・変更も忘れずに行いましょう。これらを確実に実施することで、スムーズな退職とトラブル防止を図れます。